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飯豊山地
【いいでさんち】


山形・福島・新潟の3県にまたがる山地。飯豊連峰ともいう。標高2,105mの飯豊山(本山)を主峰に,三国岳(1,631m)・御西(おにし)岳(2,012m)の主尾根から多くの支尾根を出し,規模は40km四方。飯豊山や山地の最高峰大日岳(2,128m)・北股岳(2,025m)・御西岳と2,000m以上の山々が連なっており,山容はきわめて雄大。山名については,白雉3年この山に登った唐の知道和尚と役小角(えんのおづぬ)が,山容が豊かに飯を盛ったような姿であるところから名づけられたという伝承がある。朝日山地と同じく越後山脈の北部に位置し,古生層とこれを貫く花崗岩の地塊が隆起したものである。北の朝日山地とは荒川とその支流の谷で隔てられ,南の駒ガ岳山地とは阿賀野川の渓谷によって分離している。日本海岸線に並行して南北に横たわる山地で,直接冬季の季節風を受け,日本有数の豪雪地帯の1つである。夏季でも多くの残雪をみ,特に石転び沢の雪渓は全国的に有名。植物相では,原生林のブナ林をはじめ山麓からのネマガリダケ,山腹のダケカンバ,標高1,600m位からみられるハイマツ・ハクサンシャクナゲなど,すべての植物相が大群落をなしていることが大きな特徴である。飯豊山は「お山」ともいわれ,山頂に飯豊山神社を祀っている。かつては五社権現と称し,修験道の山として人々の信仰の対象であった。特に会津(福島県)の人々の信仰が厚く,16世紀末頃にはすでに登拝路が開かれていた。三国岳・飯豊山・御西岳の稜線は飯豊山神社の神域となっている。そのため本来山形・新潟・福島3県の境界が接するはずの三国岳から御西岳までの8kmは,山形県(北側)と新潟県(南側)との間に福島県が細長く入りこんでいる。飯豊山頂付近の残雪が農業用水の水源としてきわめて重要視されていた例として飯豊山穴堰がある。荒川上流大又沢の源流御沢の水をトンネルによって最上川水系の置賜白川(おきたましらかわ)最上部の枯松沢へ導水したものである。標高1,500mの御坪と種蒔山間の,通称三つ峰横道といわれるところに,米沢藩の手で文政元年に着工されたものであり,昭和31年県史跡となる。昭和29年には磐梯朝日(ばんだいあさひ)国立公園の指定を受けた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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