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奥羽山脈
【おううさんみゃく】


東北地方のほぼ中央を南北に走る脊梁山脈。北は青森県の夏泊(なつどまり)半島から,南は関東北部の帝釈(たいしやく)山系まで,およそ500kmの長さをもつ日本最長の山脈。基盤は花崗岩で,それを覆う第三紀の凝灰岩・砂岩・頁岩などからなる褶曲・隆起山地。標高は1,000m内外であるが,この上に那須火山帯に属する新しい火山が噴出し,標高2,000m近くの山地が形成されている。宮城との県境にある蔵王山・船形山や,福島との県境にある吾妻(あづま)山などがそれである。これらの山地には黒鉱をはじめ各種の鉱産資源があり,また山岳美・火山地形・温泉などの観光資源にも恵まれている。一方この山地は太平洋側と日本海側とを区分する境界となり,気候における差異や,歴史と文化に対しても大きな影響をもつ。西側では冬季の積雪や春から夏にかけてのフェーン現象など,農林業をはじめ人々の生活に影響の多い気候がみられる。この山脈には鍋越(なべこし)峠・関山(せきやま)峠・二口(ふたくち)峠・笹谷(ささや)峠・二井宿(にいじゆく)峠・栗子(くりこ)峠など,東西を結ぶ交通路があるものの,冬季は難儀をするところで,南北の連絡の方が便利である。河川も道路も南北性をもつものが多い。そのため歴史や文化において日本海側は太平洋側とは異なる面をもって発展してきた。しかし山脈の中に国道が建設され鉄道が通ることによって,障害性はうすめられ,観光・レクリエーション地域や林業牧場地域としての性格が濃くなってきている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7023954