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置賜地方
【おきたまちほう】


県南部の地域名。県を4つの地域に区分,庄内・最上・村上・置賜と呼ばれる地域名の1つ。米沢・長井・南陽の3市と,東置賜(2町)・西置賜(3町)の2郡からなる。面積約2,497km(^2)は全県の約26.8%を占める。昭和55年の世帯6万5,481・人口25万4,429。西から南にかけて朝日山地・飯豊(いいで)山地,南に吾妻連峰,東に奥羽山脈,北に出羽山地の一部である白鷹(しらたか)山塊があり,四周を山々に囲まれている。平地は大きく米沢・長井・小国(おぐに)の3盆地に区別される。東部を国鉄奥羽本線が南北に通り,長井・米沢両盆地は連続しているが,一部を白鷹南麓で区別され,また米沢盆地と小国盆地とは険阻な宇津峠で境される。吾妻山中に源を発する最上川は,鬼面(おもの)川・吉野川・置賜白川・置賜野川など米沢盆地・長井盆地の諸川を合し,北方の五百川(いもがわ)峡谷の急流をぬって村山地方へと流れる。米沢市域から小国盆地にかけての当地方西半域は県内有数の多雪地帯。米沢盆地の東部は沈降性の窪地が連なり,特に北東部の大谷地は白竜湖にその名残をとどめる泥炭性の大湿原であるが,排水路や灌漑用水路の整備によって今日では乾田化され美田となっている。しかし寒冷地のため水田耕作は不安定で,果樹栽培が始められ,北東山麓面は一面みごとなブドウ園に変貌を遂げている。西半は典型的な水田単作地帯で耕地面積も比較的大きく,川西・飯豊両町域には散村集落が形成されている。また,小国盆地も含めて冬季出稼ぎ地帯であり過疎化が著しい。人口は米沢・南陽両市域に集中する傾向がみられ,小国・飯豊両町は人口密度50人に満たぬ過疎地となっている。工業開発は国道13号沿線の南陽・高畠(たかはた)各市町で行われており,なかでも米沢市東部の八幡原工業団地は大規模なものであるが,多雪地帯のため企業進出は停滞している。地域産業では米沢織・生糸・酒造・民芸品・酪乳製品・木材などの在来産業が中心となっており,江戸期米沢藩政下の伝統を受け継ぐものが大部分である。なかでも米沢織の名で知られる絹織物は当地方の代表的な産物であったが,近年は不振を極め,長年続いた織元が相次いで倒産するなど深刻な情況を呈している。しかし一方で弱電メーカーの進出や最上川・置賜野川・置賜白川水系での電源開発を中心とする多目的ダムの建設に見られる水資源の利用が進められている。また,豊富な温泉や山間部における観光資源の開発にも将来性が望まれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7024153