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月山
【がっさん】


県のほぼ中央に位置する霊峰。東田川郡羽黒町・立川町,西村山郡西川町との境をなす。山容が牛の寝た形に似ているところから臥牛山・犂牛(くろうし)山ともいう。標高1,980m。羽黒山(419m)・湯殿山(1,504m)とともに出羽三山と呼ばれ,古くから信仰されていた。地質は花崗岩・第三紀層およびそれらを貫く玄武岩・安山岩からなる。山体を構成する溶岩は,カンラン岩・輝石安山岩などである。東側の標高1,500m以上に原表面が残っており,ゆるやかな半月型をなし,雄大な眺めである。一方,西側は古い爆裂火口で,急崖をなしている。日本海から近いため,冬季の季節風は多量の積雪をもたらし,山腹東側に,大雪城(おおゆきじろ)をはじめとする越年雪をみる。この膨大な雪が,亜高山針葉樹林帯を極度に貧弱にしている。古来から羽黒修験の霊場で,羽黒山・湯殿山とともに東国の総鎮守とされてきた。山頂の月山神社には月読之命を祀り,開山は崇峻天皇第一皇子の蜂子皇子とされる。7~8月には羽黒山から湯殿山へと36kmの路を歩いて,五穀豊穣・家内安全・海上安全を祈願する人々でにぎわう。登拝路として東側の岩根沢・本道寺・大井沢,北側の肘折(ひじおり),西側に羽黒口の手向と湯殿山口の七五三掛(しめかけ)・大網の7コースが整備されていた。今日では羽黒口からの月山高原ライン,六十里越街道(国道112号)の整備,湯殿山口の仙人沢有料道路と姥沢小屋までの車道整備などの観光開発が進んでいる。中腹までのブナ原生林,羽黒口8合目の弥陀ケ原,肘折口の念仏ケ原,山頂付近のクロユリをはじめとする高山植物,豊富な残雪を利用した春・夏スキー場としても広く知られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7024364