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神室山
【かむろさん】


奥羽山脈の一部をなす神室山地の主峰。最上郡最上町・同郡金山(かねやま)町・新庄市と秋田県雄勝(おがち)郡雄勝町との境をなす。標高1,365m。標高では,1,367mの小又山に最高峰をゆずるが,南西に延びる天狗森・小又山・火打岳の稜線,南東に延びる大鏑山の稜線,北西の水晶森への稜線の三者が合するところに位置し,北西に前神室山(1,342m)を従えた山容は,神室山地の主峰に恥じない。神室は「神霊の宿る岩窟」の意。山頂近くに「雷神・大田神・水神」の石碑や,石の祠,小さな鉄製の鳥居・剣が奉納され,稲作を左右する天候に関する神々が祀られている。「其昔窟室大権現此山に鎮座して,小国口・仙台口・役内口など八方八口の登山路あり。何れの国々にも宿坊多数ありて……参詣の道者路繹として絶ゆる隙なかった」(増訂最上郡史)と,当時のにぎわいを知ることができる。山岳信仰の衰退した今日でも,神室山の中腹や谷に残る雪の形が自然の暦として,農作業の目安となっている。高度感のある山容,ブナの原生林などに恵まれ栗駒国定公園の一部となっている。山頂近くに山小屋が建ち,有屋・土内両集落からの登山も容易になった。また,天狗森・小又山・火打岳へと縦走路も開かれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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