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庄内地方
【しょうないちほう】


県北西部の地域名。県を4つの地域に区分し,置賜(おきたま)・村山・最上・庄内と呼ばれる地域名の1つ。鶴岡・酒田の2市と飽海(あくみ)・東田川・西田川の3郡(11町1か村)からなる。面積約2,403km(^2)は全県の25.8%を占める。昭和55年の世帯8万6,474・人口33万6,255。東部は月山を中心として南北に連なる出羽山地で内陸方面と隔絶され,西部は全域が日本海に面する。北端には出羽富士と称される鳥海山がそびえ,秋田県との境界をなす。南は朝日山地が日本海まで迫り新潟県と接する。秋田県境には古代の有耶無耶関があったといい,新潟県境には同じく念珠関(鼠ケ関)があり交通上の要衝となっていた。庄内の海岸線は加茂台地から鳥海山麓に至る砂丘地帯と加茂台地以南の磯浜地帯とに明瞭に区分される。当地方は南域を除けば海岸平野である広大な庄内平野が中核となっている。平野のほぼ中央部を最上川が西流するため南北に分断され川北,川南と称することがあり,また旧郡名称にちなみ,川北を飽海,川南を田川とも通称している。平野を南から赤川・最上川・日向(につこう)川・月光(がつこう)川が流れ,肥沃な平野が形成された。庄内では特に北西風が強く,冬季は曇天,日照は極めて少ない。冬季の降雪量が山沿いや山間部に多く,年間降水量を増加させている反面,夏季には晴天が続き稲作に有利な条件となっている。海岸沿いは北流する日本海流の影響を受け,県内で最も豪雪な地域である。最上川沿いの峡谷部の出口では清川ダシと呼ばれる夏場の強風が東方の最上方面から吹き込み農作物の成育に悪影響を及ぼす場合がある。平野部耕地の水田率は84%で典型的な水田単作地帯となっており,ササニシキを主体とする庄内米を産し好評を博している。良質な米の産地としてよく知られるようになった背景には,江戸期以来の庄内米の産地としての伝統に加え明治26年まず余目町内の旧大和村の阿部亀治によって発見された「亀ノ尾」と呼ばれる新品種以来,代々当地方の篤農家によってこの地方にあう優良品種が改良工夫され育成されてきた結果でもある。土地改良・基盤整備が他地方に比べ早期に完了したため,機械化が進み経営規模の大きい安定した稲作が営まれている。海岸沿いに広がる砂丘地帯では,チューリップ球根・葉タバコ・砂丘メロンなどが栽培され,ビニール水田も普及している。人口は川南の鶴岡市,川北の酒田市の二大都市部に集中し,両市近郊では都市化現象が顕著で新興住宅地が続々と生まれている。特に酒田市は酒田北港の完成によって日本海側の有力貿易港として発展している。また北辺には臨海工業地区が造成されて重化学工業の企業も進出しており、庄内の経済活動に刺激を与えている。日本海岸は酒田市の沖合39kmに位置する飛島とともに本県民の海水浴などの絶好の行楽地となっており,温泉地にも古来庄内三楽郷と称された湯野浜・湯田川・湯温海(ゆあつみ)の三大温泉地があり庄内の人々の湯治場となっている。鳥海山は近年有料道路ブルーラインの完成によって多数の行楽客を集め,古くから出羽三山として全国的な信仰を集めてきた月山・羽黒山・湯殿山とともに当地方の重要な観光資源となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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