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弁天島
【べんてんじま】


西田川郡温海(あつみ)町の鼠ケ関(ねずがせき)港西方に位置する高さ27mの島。第三紀層の頁岩を貫いて噴出した玄武岩からなり,西風による波浪の防波堤的役割をなす。以前は数珠のように連なる飛石を伝って渡ったが,鼠ケ関川の流砂と海岸浸食の砂礫が隆起作用に伴って砂州となり,さらに人為的な港湾掘込み整備の土砂埋立てによって陸繋島となった。享保2年の「奥羽州巡見日記」には「鼠ケ関(小国より三里十二丁)海辺也,前に弁才天島在,船にて詣」(鼠ケ関厳島神社沿革史)と見え,雲井竜雄の「荘内紀行」の慶応2年6月25日の条には「鼠関西沿岸海中一岩山置弁天祠疎松被其頂」と記されている。また天明8年に幕府の巡見使に随行した古川古松軒はその見聞記「東遊雑記」に「あまねく世にしりたる勝景の所なり。……此所の風景は和国の風俗を離れ,唐画の山水のごとく,予画に疎くして,写し得がたし」(生活史料3)と記している。庄内藩主はしばしば鼠ケ関に赴き,獲れた魚を賞味していた。現在は島の北東側が港になり,島までは自動車でいける。源義経一行が越後の馬下(まおろし)から船に乗り,弁天島に上陸したという伝承がある。沖合いに粟島(あわしま)(新潟県)が見え,厳島神社と灯台,さらに海水浴場があり,観光客などでにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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