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湯殿山
【ゆどのさん】


月山南西山腹にそびえる山。標高1,504m。月山・羽黒山とともに出羽三山の1つ。湯殿山神社は五穀豊穣・家内安全の守り神として崇敬されているが,社殿をもたない珍しいものである。御神体は湧出する温泉と水酸化鉄が沈澱重積してうろこ状になった巨岩である。湯殿の由来は,自然の御神体がお湯にひたっているところから名づけられた。神社一帯は古くから神秘の境域とされ,「語るなかれ,聞くなかれ」と戒められていた。松尾芭蕉の「おくのほそ道」(角川文庫)にも,「総じてこの山中の微細,行者の法式として他言することを禁ず。よって筆をとどめてしるさず」とあり,「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」の句を残している。六十里越街道(国道112号)から,仙人沢まで有料道路が通り,初夏から晩秋までのシーズン中はかなりにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7028154