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会津駒ケ岳
【あいづこまがたけ】


南会津郡檜枝岐(ひのえまた)村のほぼ中央にある山。標高2,132.4m。古生層の粘板岩などから成る。山頂からは北東・北西および南の3方向に標高2,000m前後の山稜が連なり,そのよくそろった稜線の高さは,かつてこの地域一帯に小起伏の浸食平坦面が存在したことを物語る。すなわち,北東へは2,098m峰を経て大戸沢岳(2,089m)・三岩岳(2,065m)・窓明山(1,842m),北西へは駒ケ岳山頂から約2kmの中門岳(2,060m)まで,南へは駒ノ小屋のある2,010mの高まり,富士見林道の通る1,996m峰,1,956m峰を経て大津岐(おおつまた)峠(1,930m),大杉林道の通る山稜から大杉岳(1,921m)に至るそれぞれの稜線が延びる。このうち特に駒ケ岳~中門岳および駒ケ岳~大戸沢岳の山稜は幅が広くなだらかで,いたるところに湿原が広がる。これらの湿原にはハクサンコザクラ・コバイケイソウなどの群落や大池と呼ばれるやや大きなもののほかいくつかの池塘がある。山頂付近の広々した緩斜面が,おそらくかつての浸食平坦面の名残であって,第四紀初め頃の越後山脈の大規模な隆起運動によって現在の高度となり,その後,只見川水系の檜枝岐川・御神楽沢(みかぐらざわ)・大津岐川とその支谷群によってはげしく開析されて,大起伏・急斜面の卓越する壮年山地となった。駒ケ岳山頂からの眺望はすばらしく,南には東北地方最高峰の燧ケ岳(ひうちがたけ)(2,346m),至仏山(しぶつさん)(2,228m)などの尾瀬ケ原周辺の山々,西には只見川の深い谷を隔てて越後三山(同名の駒ケ岳2,003mを含む),北西には銀山湖と奥只見湖の一部,さらに東へは那須から帝釈山脈の山並みを望む。登山コースは東麓の檜枝岐口が一般向きであるが,南側の御池(みいけ)口からも開かれた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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