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久慈川
【くじがわ】


東白川郡棚倉(たなぐら)町西南部の八溝(やみぞ)山地に源を発して北流し,棚倉付近で流路を南に転じ,宮川・川上川・八溝川などの支流を集め茨城県に入り,日立(ひたち)市南部で太平洋に注ぐ1級河川。全長約124km,流域面積1,490km(^2)。流域は棚倉破砕帯に沿っているため,急速な下刻作用があり,矢祭(やまつり)山(402m)付近で約20kmにわたり峡谷をつくっている。古くは久自河とも書かれ,久慈とは「クジリ」(クジラ)であり大魚のことといわれているが,アイヌ語のkut-i(断崖のある所)の意(地名語源辞典)かともいわれる。福島県内の久慈川筋には奥久慈県立公園があり,ところどころで両岸に絶壁や段丘をつくり変化に富んだ地形がみられる。特に矢祭山付近では高さ500m前後の花崗岩山地をこの河川が切って絶壁を形成し,矢祭山から茨城県大子(だいご)町にかけては奥久慈渓谷といわれる。江戸中期には一時舟を通したというが,運んだ物資など精細はわからない。流域は関東地方に接するため古くから住民生活や文化の交流があった。この地方のコンニャクイモの栽培は茨城県保内(ほない)地方(現大子町)から伝播したものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7030643