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信夫山
【しのぶやま】


福島市中心市街地の北側で,平地の中に孤立する山。御山(小山とも書く),古くは青葉山とも呼ばれた。現在青葉山は独立標高点216.4mの山。青葉山信夫院薬王寺があるためであろう。その西の独立標高点267.6mの山を青葉山とする説もある(郡村誌)が,これは羽山(御羽山)である。新第三紀の天王寺層から成り,木ノ葉・鯖・貝などの化石を含む。中西部は接触変質を受け硬い流紋岩状の岩石に変わったところもある。山頂は4峰に分かれ北東の熊野峠(268.2m)を最高点とし,その南西に谷山,さらに南西に薬王寺山,西端に羽山がある。羽山の西は急崖となり烏が崎と呼ばれる。地質的には東部の阿武隈(あぶくま)山地とはまったく相違し,伊達郡飯坂町付近の地質と似ている。福島盆地の盆地床下に沈下した地塊の上の1峰が,第四紀層に埋め残されて,西の一盃森と同じように平地の上に孤立した山地を作った。谷山には羽黒神社を祀り,その参道および谷山東斜面に羽黒神社の社務をつかさどる六供(ろつく)の人達が居住している。この六供は六供奉の略称で,羽黒権現,すなわち石比売・淳中太命が奥州に下向したとき供奉してきた人達の子孫という。南の山麓に延喜式内社,信夫郡五社の1つと擬せられる黒沼神社があり,石姫命と久良御津羽神を祭神とする。もと信夫郡には松川町金沢・浅川のほか水原にも黒沼神社があって,どれが古いのか不明である。羽山には湯殿神社・月山神社がある。またここに淳中太命陵があり,黒沼神社の南方に石姫(石比売)陵があるという(信達志)。谷山の南東面,山頂近くに数百株の柚(ゆず)が栽培され,古くからここの特産になっていた。気温の逆転で温暖帯があり,その栽培に適している。南麓に信夫山公園がある。




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「角川日本地名大辞典」
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