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田代山
【たしろやま】


南会津郡舘岩村の南部,栃木県塩谷(しおや)郡栗山村との境にある山。帝釈(たいしやく)山脈の1峰。標高1,971mの標高点から北東約0.7kmにある1,926.3mの三角点まで,平坦な山頂の上に田代山湿原の名をもつ広々とした湿原がある。砂岩・粘板岩などの古生層や花崗岩を基盤とする標高1,800m前後の浸食平坦面の上に,第四紀初め頃堆積したと思われる石英安山岩質溶結凝灰岩がのっており,周辺の伊南(いな)川水系および鬼怒(きぬ)川水系の支谷群による浸食から免れて台地状に残されている部分である。この溶結凝灰岩層下の浸食平坦面は,会津駒ケ岳(2,132.4m)を中心とする古生層山地に広く分布するものの一部で,第四紀以前にこの地域に存在した準平原の遺物と考えられている。現在,大起伏の壮年山地になっているのは,その後の大規模な地塊状隆起と,その結果浸食が復活した河川の激しい下方浸食との組み合わせによるのである。田代山湿原には,クロベ・コメツガ・ハイマツ・シャクナゲ等の矮生林と,チングルマ・ワタスゲ・ミズバショウ・コバイケイソウその他の高山植物,弘池沼・太子堂などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7032184