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燕沢
【つばくろさわ】


福島市南西部,一切経(いつさいきよう)山の南東側にある小さな谷で,小火口が並んでいる。明治26年5月に始まった吾妻山の噴火はここでの爆発である。吾妻山はそれ以前にはあまり大規模な活動を行った記録が残されていないが,正徳元年の土湯村御裁許図には硫黄山から噴煙が出ている景色を示すから,小規模の活動が続いていたのであろう。明治26年に至って突然燕沢が破裂し黒煙を四散させた。この時の活動では桶沼火山北麓にあった甚兵衛小屋(矢筈温泉)は灰をかぶっただけで,損傷はなかった。その後繰り返し爆発が起こり,同年6月7日には調査に登山した4氏のうち三浦・西山両氏は噴火で重傷を負い,まもなく死亡した。この活動は同28年まで断続し,火山弾の落下地点には擂鉢状または円筒状の凹地を造ったという(地学雑誌第5巻)。いずれも燕沢の活動である。現在は小噴気孔が点在している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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