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西吾妻山
【にしあづまやま】


福島県耶麻(やま)郡北塩原村と山形県の県境に位置する火山。標高2,035m。磐梯朝日国立公園のうち。吾妻火山群の1つで,他に西大巓(にしだいてん)(1,981.8m)・東大巓(1,927.9m)・昭元山(1,892.6m)・一切経山(1,948.8m)・吾妻小富士(1,704.6m)・高山(1,804.8m)・東吾妻山(1,974.7m)・中吾妻山(1,930.6m)があり,全体としては東西に長軸をもつ楕円形を呈している。吾妻火山群は基盤岩(新第三紀層)が高く,1,400~1,500mまで見られ,火山噴出物の厚さは厚いところでも500~600mにすぎない。西吾妻山は本火山群中最も高く,コニーデ型を呈し,山頂に火口がみられる。洪積世中期の終わり頃活動が始まり,洪積世末にはおおよその火山の原形が完成したものと推定されている。吾妻山には吾妻明神の吾妻神社があり,修験道の信仰の基地であった。「新編会津」の酸川野村の項に「……西吾妻は檜原村に属せり昔日本武尊を祭れる社あり故に名けり」「吾妻権現の霊場なりとて民の崇信大方ならす毎年七八月の頃大寺村恵日寺猪苗代城下修験成就院各登山して……」とある。同じく檜原村の項には「西吾妻山村東二十町余数山の奥にあり,頂上まて一里十四町凍雪を踏にあらされは登ることを得す,山頂は常に風烈しく五葉松姫松の類みな地に蟠れり,半腹は竹木繁茂し夏日猶残雪あり」とある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7033066