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浜通り
【はまどおり】


県東部の地域名。県を3つの地域に区分し,中通り・会津地方・浜通りと呼ばれるが,その地域名の1つ。太平洋沿岸地方の呼称で,相馬・原町・いわきの3市と,相馬郡・双葉郡の9町3村とからなり,面積2,968km(^2)(全県の23%),人口は約55万人(昭和54年,全県の約27%)。古くは海道・東海道・浜海道などと呼ばれ,関東から陸奥(みちのく)へ入る通路として,中通りと並ぶ重要な地域であった。明治以降はここを陸前浜街道が通り,現在は国道6号・国鉄常磐線が通過する。地形的には,阿武隈山地を除くと海岸部の丘陵帯で全般に標高は低い(ほぼ200m以下)が,阿武隈山地東縁を限る双葉断層崖その他の急崖下に,南北約10km・東西10km程度の細長い帯状の地域に,これを横切って海に注ぐ大小無数の河川が流路を刻んでいるので,丘陵・台地・低地ともひと続きの地形面としての広がりに乏しく,全体として細かく分かれた地形要素のモザイク構造となっている。しかしながら,特に海岸地形に注目すると,大きく3つの地域に分けられる。すなわち,仙台湾から続く北部の砂浜海岸と沿岸平野,浜通り中部地区の激しい海岸浸食を受けつつある海食崖の連なる海岸段丘地域,いわき地方の夏井川・鮫川下流の沖積平野と砂浜海岸(一部に海岸段丘)の地域である。気候環境は,本県中では最も温和な海洋性の気候特性をもつ。南部には暖帯林があり,桜の開花も県内で最も早い。夏には海から涼風が吹き,冬にも降雪日数は数えるほどしかない。あらゆる点で同じ県内の会津地方とは対照的であり,両者の中間的特色を示す中通りとともに,本県の地域性を三分する基盤となっている。社会的環境としては,福島・郡山両市をはじめ,国鉄東北本線・東北自動車道・東北新幹線(昭和56年開通予定)などの集まる中通りに比べて,小名浜港や双葉地区の原子力発電所など,県内でも独特の役割をになう地域である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7033427