100辞書・辞典一括検索

JLogos

19

磐梯山
【ばんだいさん】


大磐梯(おおばんだい)ともいう。耶麻(やま)郡猪苗代町・磐梯町・北塩原村との境,猪苗代盆地の北にそびえる火山。磐梯朝日国立公園のうち。広義の磐梯山は幾つかの火山の複合よりなっており,主峰は標高1,818.6mの磐梯山(大磐梯)で,赤埴(あかはに)山および丸山の寄生火山と沼ノ平火口を含む8つの爆裂火口をもつ。西に猫魔ケ岳がそびえ,ともに1つの盆地状の凹地に出現した屋上屋構造をもつ火山である。かつて小磐梯(1,700m)があったが,明治21年の大爆発(ボルカノ式噴火)で吹き飛び,現在の馬蹄形カルデラが出現した。このとき生じたのが裏磐梯泥流である。磐梯山のできあがった時代は沖積世の初め頃と推定されている。歴史時代に入ってからは大同元年に噴火して以来明治21年の大爆発まで11世紀にわたって眠り続けてきた火山である。磐梯山の名は「天に達する磐(いわ)の梯(はしご)」からきている。手長・足長と弘法大師の伝説が残っており,その頃はこの怪物たちによって会津の人々は苦しめられていたため「病脳山」と呼んでいたが,弘法大師の法力により救われ,そのときから名を磐梯山と改めたという。「万葉集」の東歌に「会津嶺(あいづね)」と歌われており磐梯山をさすものと思われる。磐梯明神を祀る磐椅(いわはし)神社があり,修験の山の神を祀る日本固有の信仰の基地となっている。また峰続きの古城ケ峰(1,287.8m)の南麓には大同2年,徳一によって開かれた恵日寺がある。会津仏教の中心地として栄えた。植生は泥流堆積地ではススキ・アカマツ,岩塊の多い所ではダケカンバ・カエデなどの落葉広葉樹を混じえたアカマツ林となっている。鳥類が多く,生息環境は富士のすそ野に匹敵するといわれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7033511