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五浦
【いづら】


北茨城市大津町五浦の海岸。国鉄常磐線大津港駅の東方約5kmで,太平洋に臨む。名称は入江が5つあることに由来。それぞれの入江の幅は100~200mで,小五浦・大五浦・椿磯・中磯・端磯が並ぶ。海岸は30~40mの海食崖で,海食により生じた鐘鼓洞をはじめ無数の洞穴が点在する。海中には様々な形の岩礁が突き出し,背後の松林の丘陵とともに風光明媚な海岸を構成する。昭和28年に指定された花園花貫県立自然公園の一部。またハヤブサ・イソヒヨドリ・コアジサシなど野鳥の保護区。明治17年木皿村の柴田稲作が付近の漁場開発に努めた。明治36年岡倉天心が,磯原町大塚出身の飛田周山の案内で当地を訪れ,同39年日本美術院を当地に移した。天心の愛弟子横山大観・下村観山・菱田春草らも五浦に移り住み,新しい芸術活動が展開した。現存する当時の母屋と,岬の先端に天心が思索した夢殿風の六角堂などは昭和30年国立茨城大学に寄贈され,五浦美術研究所となっている。邸内に天心の思想を表わした「亜細亜は一なり」の碑がたつ。四季を通しての観光地で,年間約30万人の観光客を集める。付近に大津岬灯台がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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