馬坂
【うまさか】

東茨城郡茨城町海老沢地内の鹿島台地北端崖に位置する急坂。鉄道開通前の幹線輸送路。江戸期には水戸藩領や奥州・下野(しもつけ)などの荷は波の荒い鹿島灘を避け，ほとんど水路で江戸に運ばれたが，途中の涸沼(ひぬま)～北浦間のみは台地上の陸路であった。涸沼の海老沢河岸で舟から荷を引き継いだ馬が最初に出合う難所がこの坂で，この坂を越えると巴川の下吉影河岸まで運ばれ，再び舟で北浦へ出た。今もこの坂には馬頭観世音がある。なお，この間の陸路は諸物資の流通に支障をきたしたので，宝永４年から運河掘削が行われたが，失敗に終わった。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7035691