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鹿島郡北条
【かしまぐんほうじょう】


旧国名:常陸

(中世)鎌倉期~南北朝期に見える広域地名。常陸国のうち。弘安田文に「北条徳宿郷五十四丁八段三百歩」とあり,以下同郷神谷戸,同宮田郷,白鳥郷,同郷内家吉末遠,同郷内家吉武国などと見える(税所文書/県史料中世Ⅰ)。また弘安田文によれば,鹿島郡南条と鹿島郡北条との境は,南条の林と北条の白鳥郷内志崎・武井の間であった。鹿島郡全体は,古代以来鹿島神宮の神郡であったが,おそらく平安末期頃から神宮の社領荘園化に伴い,郡が南条と北条とに分割支配されるようになったのであろう。嘉元田文によれば,北条の惣田数は288町9反大で(所三男氏所蔵文書),これは康永2年正月9日書写の鹿島神宮領田数注文案の合計田数と同じである(鹿島神宮文書/県史料中世Ⅰ)。鎌倉期にこの地域を根拠地とした鹿島氏庶流には徳宿・安房・宮崎・鎌田(烟田)各氏がいる(常陸大掾系図/続群6上)。鹿島郡北条の呼称は室町期以降ほとんど見えず,これら各氏の独自な郷・村支配が,平安期以来の北条という地域呼称を消失させていったのであろう。現在の大洗町・旭村・大洋村,鹿嶋市(旧大野村)北部,巴川右岸を除く鉾田(ほこた)町などを含む地域に比定される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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