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鹿島砂丘
【かしまさきゅう】


県南東部の砂丘。鹿島郡域の太平洋岸一帯をさす場合もあるが,狭義には鹿島台地南部から波崎町にかけて,鹿島灘と外浪逆浦(そとなさかうら)・常陸利根川・利根川の間に分布する砂丘をいう。基盤は息栖(いきす)層とよばれる砂礫層で構成され,海岸線に並行する標高5~15mの浜堤が核になった新規海岸砂丘,浸食砂丘と利根川左岸にみられる標高6m前後の河畔砂丘からなる。浸食砂丘は神之池(ごうのいけ)東部および南部に大規模に発達し,八光台砂丘(27.6m),知手台砂丘(37.9m),弁天台砂丘(26.2m),宝山砂丘(19.37m),押揚台砂丘(現港ケ丘,17.9m)が主なものである。砂丘地域のため柳川新田・須田新田などの新田集落も発達している。海岸砂丘背後の低地は地下水面が浅く,水田として利用され,内陸部の比較的地下水面の深い地域は「掘下げ田」として利用された。また砂丘地域は漏水が著しく湛水不可能のため,鳥取砂丘で開発されたビニール水田が昭和35年若松開拓地で導入された。このビニール水田は一時は波崎町の田の2%,神栖町の田の14%を占め,大野原・若松開拓・宝山付近がその中心をなした。鹿島灘沿岸は水田が少なく北浦湖岸に出作りする人が多かった。現在はこの砂丘地域も工業整備特別地域に指定され,Y字形の掘込式港湾を中心に鹿島コンビナートがつくられ,人工改変により砂丘の姿も変容している。鹿島台地北部には夏海(なつみ)砂丘の小規模な発達がみられる。大正6・7年には砂防用に約27万本の植林が旧夏海村で行われている。砂丘地域の防砂林育成のため,クロマツを中心とした県営苗圃が鹿島町に大正4年設けられ,公益的造林用苗木は無償交付され,砂丘の固定化が図られた(茨城の林業)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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