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三鈷室山
【さんこむろやま】


多賀山地北端に位置する山。標高870.6m。「さんこむろさん」ともいい,「新編常陸」には三古室山と見える。久慈郡里美村と福島県矢祭町との境界にあり,里川の水源をなす。岩質は花崗岩・片麻岩からなる。「水府志料」に「三古室 里より北に当りて,三ツの峯あり……前中の二峯は常陸の地にありて水戸領に属し,後峯は奥州棚倉領手塚村の地にして,中峯より後峯へ渡る峯を以て両国の界とす」とある。宝亀7年行基が里川新田にきて,前峯・中峯・後峯の間に狼がいて大変困っているという話を聞き,前峯に霊府,中峯に観音を祀り,後峯へは行基自ら登り,法を修し,金文の仏器を蔵めて塚を封じたため,それ以後狼の害がなくなり,土地の人たちはこれを法師塚とよんでいるという。地名は行基大師が三峯を号して三古室と唱うべきと教えたことにちなむといわれる(水府志料)中峯の中腹には上人屋敷とよばれる土地があった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7037364