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十万原
【じゅうまんぱら】


那珂川右岸にある標高40m前後の河岸段丘。南部を那珂川支流の藤井川,東部を那珂川が流れる。十万原の東端の崖下をかつては常北町と水戸を結ぶ茨城交通茨城線が通っていたが廃止され,現在は国道123号が南北に通じる。地名の由来は,源義家が奥州遠征に向かう時,軍勢10万騎が勢ぞろいした場所であることにちなむという。古くは藤井・増井・上中河西・下中河西村の4か村入会の採草地であった。慶長17年秋田河内守の領分の時に,採草地をめぐり,水戸藩領の石塚村と争いがあり,同年8月12日,百姓総出で石塚村の者を打ち殺した。このため同年9月12日,代官長谷川七左衛門により処罰が申し渡され,藤井村では死者1人に付き2人処罰され,12人が磔(はりつけ),20人が打首となった(水府志料)。また明治期の地租軽減・延納に端を発した小瀬一揆の際には,十万原に集合して茨城県庁に押し寄せ強訴する計画であったが,十万原の手前で鎮圧に向かった巡査や士族で編成された部隊の襲撃に遭い総崩れとなった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7037693