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多賀山地
【たがさんち】


阿武隈高地南端部,久慈川の支流里川と太平洋に挾まれた楔形の山地。隆起準平原で,花崗岩類や変成岩類からなり,起伏の少ない波状高原の地形をなす。標準は200~800mで,北部にいくにしたがい高くなる。和尚山(804m)・花園山(798m)・竪破(たつわれ)山(658.3m)・神峰山(598m)・高鈴山(623.6m)などはこの山地の残丘で,頂上付近はなだらかである。分水嶺の東側山間部には河川に沿って山間盆地が点在し,樹枝状に水田が開かれている。太平洋に注ぐ大北川・花貫川・十王川・宮田川・鮎川などは一般に南東に向かって流れ,中流部は山地の隆起に伴って河川の浸食が進み,峡谷をなす。花貫川には花貫ダム(高萩市),花園川には水沼ダム(北茨城市)などの多目的ダムも建設されている。日立市発展の端緒となった日立鉱山はこの山地の変成岩中にみられる層状含銅硫化鉄鉱床を採掘していた。また,山地東縁に発達した第三紀層の下層部をなす石城夾炭層がいわゆる常磐炭田を形成し,高萩市・北茨城市の石炭産業の発展を促した。なお,この山地は県北東部の交通路を大きく規制し,国鉄常磐線・国道6号はほぼ南北に通り,市街地はこの交通路に沿って発展してきた。また森林資源が豊富でスギ・マツ・ヒノキを中心とする林業が盛ん。高萩市には製紙工場も立地している。また山間部には牧場や畜産団地もつくられ,和牛(常陸牛)の飼育やコンニャク栽培も行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7038064