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月居山
【つきおれさん】


久慈山地西列の男体山地北端に位置する。集塊岩からなる。標高404.0m。北に滝川を挟んで生瀬(なませ)富士,東に滝川支流の大野川・高瀬川の浸食によってできた生瀬盆地があり,西は久慈川の浸食谷になる。滝川には有名な袋田の滝(四度の滝)がある。月居山の北部には300~400m前後の山地が,南部には白木山・長福山・男体山などの山地が連なり,古来東西交通の制約となってきた。奥久慈地方と鹿島灘沿岸や生瀬盆地・里川・山田川流域との交通はいくつもの峠を越えて行われた。里川流域から生瀬盆地へ出るには猪ノ鼻峠,山田川流域からは取上峠,生瀬盆地から大子や馬頭,下野(しもつけ)国(栃木県)に行くには月居山南側の月居峠を経由した。「新編常陸」には,「此道ハ天下野(けがの)辺並小里郷ヨリ大子馬頭下野国ニ至ル,東浜魚荷ノ道ナリ」とある。明治17年月居トンネル,昭和51年に新月居トンネルが建設された。月居山の山頂には中世の山城である月居城跡がある。袋田の滝を望む断崖上には大同2年創建と伝えられる月居山光明寺(月居観音堂)がある。永保3年源義家が奥州遠征の途中,戦勝祈願をしたといわれ,代々水戸藩主に信仰されてきた。元治甲子の乱の際堂宇を焼失,昭和17年に再建された。山麓近くの袋田温泉ホテル付近は,水戸浪士が万延元年大老井伊直弼を桜田門外に襲った際の首謀者関鉄之助を1年余かくまった郷士桜岡源次右衛門の屋敷跡として知られる。袋田地域は徳川光圀の奨励によりコンニャクの産地になっている。周辺は奥久慈県立自然公園に指定され,新緑・紅葉の季節には行楽客でにぎわう。袋田の滝から月居山へは自然研究路がある。また月居山から男体山に抜ける縦走コースもある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7038321