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八溝山地
【やみぞさんち】


県北部の山地。福島県南部に始まり,茨城・栃木県境付近を通り,縦走して筑波山に至る。南北約100km。東は久慈川を挾んで久慈山地に対する。久慈川支流押川,那珂川および同川支流緒川や国鉄水戸線沿いの谷に切られるため連続した山地をなさず,北から八溝山塊・鷲ノ子(とりのこ)山塊・鶏足(とりあし)山塊・筑波山塊に分かれる。特に鷲ノ子山塊と鶏足山塊の間が那珂川によって大きく浸食されている。また久慈川と押川の合流点には浸食によってできた大子(だいご)盆地がある。地質的には北部は古生層,南部は花崗岩・斑糲岩からなる。北端の八溝山(1,022.2m)を最高峰として,南部に向かって尺丈山(511.5m)・鷲ノ子山(430m)・吾国山(518.2m)・難台山(553m)・加波山(709m)・足尾山(627.5m)が続き,南端には関東の名山として知られる筑波山(875.9m)が関東平野の中にそびえ立つ。当山地が南北に走っているため,県北地域と栃木県地方との交流は,那珂川の谷をのぞくと北から境ノ明神峠・烏帽子掛峠・白岩(しらや)峠・仏ノ山峠などの峠を通して行われた。久慈川の谷は古来から常陸国と奥羽地方を結ぶ南郷街道として大きな役割を果たしてきた。北部は奥久慈県立自然公園に指定され,山方町以北は奥久慈渓谷とよばれている。袋田温泉もあり,新緑・紅葉は本県随一といわれ,県外からの観光客も多い。中部は御前山県立自然公園に指定されており,周辺は那珂ラインともいわれ,常陸嵐山(関東の嵐山)として有名。青少年旅行村も設けられている。南部は水郷筑波国定公園に指定され,春・夏・秋には行楽客でにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7040212