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華厳渓谷
【けごんけいこく】


日光市にある渓谷。日光の華厳滝から流れ下って,清滝新細尾町の馬返付近までの急峻なV字谷をつくる約2kmの渓谷をいう。水面標高1,269mの中禅寺湖から流れ出る水が,大尻川となり,97mの落差で落ちて華厳滝となる。滝壺からあふれた水は,両側に100~200mもの絶壁をうがちつつ東流する。北側には白雲滝・方等滝・般若滝,南側には阿含滝があり,その細流を合わせながら,一気に標高約750mの清滝付近へと落ちる。華厳滝は,かつての旧大谷(だいや)川があった断層谷に,北の男体山から2度にわたる溶岩流によってせき止められた湖の溢水によって造成され,当初は滝壺は今より東の下流部にあったが,次第に上流へ転進し,それだけ当渓谷は奥深くなった。渓谷の南岸の基盤を形成するのはいろは坂溶結凝灰岩であり,北岸は下部に二層の集塊岩,その上部に溶岩・安山岩があり,後者には見事な柱状節理が発達している。下部溶岩上部からは地下水が湧水し,華厳滝の下部両側からの十二滝や白雲滝となっている。北岸の男体山斜面は溶岩や火山灰が成層をなし崩れやすく,大薙などの大崩壊を進行させている。最近では昭和51年,滝の近く,観瀑台付近で大崩壊があった。そのため渓谷内には両岸から落ちた大小の岩が重なり,大谷の水が急流岩をかみ,その渓谷美は類を見ない。かつて遊歩道があったが,今は落石の危険から廃道になっている。渓谷の上・下の落差を利用して馬道発電所が古河鉱業の手で造られ,出力7,000kwの電力を生んでいる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7041748