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瀬戸合峡
【せとあいきょう】


塩谷郡栗山村にある峡谷。鬼怒(きぬ)川本流の上流部の奇岩絶壁の峡谷をいう。約2.5km・高さ100m。栗山村本村部を下流から西流して,段丘が尽きる所,野門橋から上流,川俣ダムサイトまでの断崖。本県最高の渓谷である。野門橋から河原に沿って歩道が開け,谷底を上流に向かって歩むことができる。岩層が主に北東から南西に走り,本流をせき止める形で重なっているが,そこを鬼怒川の流水が激しくかみ,南東流して横谷をつくっている。渓谷の下流部は流紋岩質の溶結凝灰岩で,かなり風化して崩れやすい。西から入る大事沢の合流点より上流は古期岩で,黒色~黒灰色の頁岩・砂岩となる。褶曲や小断層が発達し,亀裂・尖岩が重畳している。さらに上流では東から新瀬戸沢を入れ,再び流紋岩質溶結凝灰岩となり,岩は堅硬で節理が発達し,見事な断崖をそばだてている。その岩にセメントを注入して補強し,高さ117m・堤頂長131mの川俣ダム(アーチ式ダム)が構築された。ダム上流に川俣湖が広がり,洪水調節が主目的であるが,ダムの直下には川俣発電所があり,最大2万7,000kwの電力を生んでいる。しかしその水はすぐ地下に潜り,栗山発電所・鬼怒川発電所へと送られているので,当峡谷の水量が極小であるのは惜しまれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7042392