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吾妻渓谷
【あがつまけいこく】


利根川支流,吾妻川の中流にある渓谷。吾妻郡長野原町川原湯字下湯原の八ツ場(やんば)橋から,吾妻町松谷字上組の雁が沢橋に位置する。延長約4km。中新世に堆積した変朽安山岩・両輝石安山岩・凝灰角礫岩の基盤を吾妻川が浸食して形成され,両側には王城山(1,123m)や高間山(1,342m)など標高1,000~1,500mの山嶺が連なり,壮年期の地形を呈している。左岸を走るJR吾妻線や国道145号からの渓谷の深さは50m前後。渓谷は曲折に富み,早瀬や淵などで千態万様に変化し,奇石怪岩が林立する。明治・大正期の地理学者志賀重昂も「関東の耶馬渓(やばけい)」と激賞した。特に,弁天島・若葉台・屏風岩・布袋岩・八丁暗がり・竜頭岩・竜尾岩・紅葉台・新蓬莱・白糸の滝は渓谷十勝に指定されている。渓谷の両側にはカエデ・クヌギ・イヌシデなどの落葉広葉樹林が,岩にはツツジが繁茂している。春は新緑と岩ツツジ,秋は紅葉が美しい。右岸中腹には遊歩道が設けられ,観光シーズンにはにぎわっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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