100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

鬼押出し
【おにおしだし】


吾妻(あがつま)郡嬬恋(つまごい)村にある溶岩原。浅間山の北斜面に分布する。標高約1,200m以上の高地で,東西約1~2km・南北約5km。天明3年の浅間山の大噴火で流出した溶岩流が凝固したもので,巨岩や奇岩が重なり合う奇怪な風景が開けている。岩質は複輝石安山岩。この噴火は浅間山噴火の活動の中でも最も激しく,溶岩・泥流が北方に流下し,吾妻川を堰き止め,その下流地方に大洪水をもたらした。また,火山砂礫や火山灰を遠くまで降らせ大被害を与えた。その際,鎌原(かんばら)村(現在は嬬恋村)は溶岩の熱泥流の下に埋まり,一村全滅に等しい被害をこうむった。当時の村民は570人で,477人が死亡し,鎌原観音堂に逃げた93人だけが助かったという。鎌原村は日本のポンペイともいわれている。近年,観光開発が進められ,岩窟ホール,江戸後期の狂歌師蜀山人の文になる噴火記念碑などのある鬼押出し園,浅間博物館,展望台のある浅間園がある。また,付近には国特別天然記念物の浅間山溶岩樹型がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7044851