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中之条盆地
【なかのじょうぼんち】


県北西部を流れる吾妻(あがつま)川の中流にあり,支流の山田川・名久田川との合流点付近に発達する山間盆地。盆地底の標高330m内外。吾妻郡中之条町・吾妻町を中心に,東村・高山村と北群馬郡小野上村の一部にまたがる。東は十二ケ岳(1,201m)および小野子山(1,208m),西は薬師ケ岳(974m),南は榛名山,北は嵩山(789m)に囲まれる。盆地一帯は洪積世初期に東西約20km・南北約15km,水深200mに及ぶ大きな静止水域(古中之条湖)が存在したと考えられる。小野子火山や榛名火山の噴出物が吾妻川をせき止めたという説と,基盤の第三紀層が向斜構造を形成する過程で,沈降運動に伴い吾妻川・名久田川・山田川などの土砂が流入し,沈降を続け,深く大きい構造性の湖ができたという説もある。この盆地には吾妻川の河床面までに7~8面からなる段丘地形がみられる。高位から蓑原面・成田原面・中之条面・伊勢町面と呼ばれる。一番古い段丘は蓑原面で,下位段丘になるほど形成時期が新しい。これらの段丘礫層の下には縞状の粘土層(中之条湖成層と呼ぶ)が分布していることから,この盆地もかつて湖沼であったことを物語っている。盆地は吾妻郡の中心地域をなし,JR吾妻線が通り,中之条町および原町の対向集落が河岸段丘上に発達している。中之条町と原町は吾妻郡の行政・経済・文化の中心をなし,両町とも流域の村々を後背地として発達した谷口集落であった。盆地には水田・桑園の分布がみられ,農業集落は盆地の周辺に多く分布している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7046404