100辞書・辞典一括検索

JLogos

16

雲取山
【くもとりやま】


雲採山とも書く(新編武蔵)。秩父(ちちぶ)郡大滝村と東京都西多摩郡奥多摩町・山梨県北都留(きたつる)郡丹波山(たばやま)村の1都2県にまたがる山。標高2,018m。秩父多摩国立公園のうち。奥秩父山地主脈上の東端に位置し,北へ三峰(みつみね)山稜(三峰山・白岩山・霧藻ケ峰へ通ずる尾根)を,また南東へ七ツ石山尾根を分岐する。多摩川支流の日原(につぱら)川や後山川,荒川支流の大洞(おおぼら)川の分水嶺。地質は,中生代の大滝層群に属し,輝緑凝灰岩や粘板岩からなり,北の埼玉県側と東の東京都側は,コメツガやシラビソの深い原生林でおおわれ,西の山梨県側は明るい草原状となっている。妙法ケ岳・白岩山とともにいわゆる三峰山の1峰で,石権現を祀り,三峰権現社奥の院の1つであったことが「新編武蔵」や「秩父志」に見える。さらに山名の由来は,三峰山が熊野系の修験道場であったこと,「武蔵通志」に「大雲取山」の記述があることなどから,熊野地方の「大雲取山」から導かれたものと思われる。1等三角点のある山頂から富士山・大菩薩(だいぼさつ)嶺・南アルプス・日光連山など眺望をほしいままにでき,付近には4軒の山小屋がある。その1つ,雲取山荘の脇には,奥秩父登山の先駆者田部重治のレリーフがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7049132