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外秩父山地
【そとちちぶさんち】


秩父(ちちぶ)盆地東側の標高1,000m以下の低山性山地で,東端の八王子構造線付近では100m台に低下する。地質は,皆野(みなの)―越生(おごせ)線以北では長瀞(ながとろ)系の浸食されやすい結晶片岩,以南では秩父古生層のチャート・砂岩・石灰岩からなる固い岩石からなり,高麗(こま)川流域には西秩父の山地溝帯の延長と見られる中生代の白亜系もある。東流する荒川・槻(つき)川・都幾(とき)川・越辺(おつぺ)川・高麗川・入間(いるま)川(名栗川)の清流に恵まれている。これらの河谷を利用して釜伏・二本木・粥新田(かゆにた)・定峰・大野・刈場坂・正丸(しようまる)峠などの峠越えの通路が古くから開かれ,江戸期には秩父札所34番への巡礼道や秩父絹の江戸への搬出ルートとして賑わった。今は,秩父盆地との分水嶺をなす釜伏山・登谷山・皇鈴(みすず)山・大霧山・堂平(どうだいら)山・伊豆ケ岳などへ通ずる日帰り用のハイキングコースも開かれ,山頂からの眺望も素晴しい。玉淀(荒川)・黒山三滝(越辺川)・名栗渓谷などの名勝や鉢形(はちがた)城跡・天台宗の名刹慈光寺・渡来人ゆかりの高麗神社と聖天院・高山不動・子ノ権現(ねのごんげん)などの文化財も多く,家族連れや若人のハイカーで賑わう。昭和26年,北部は県立長瀞玉淀自然公園,中央部は県立黒山自然公園,南部は県立奥武蔵自然公園に指定された。このうち,南部の高麗川・名栗川流域は奥武蔵ともいう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7050168