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高野砂丘
【たかのさきゅう】


県東部,北葛飾(きたかつしか)郡杉戸町下野から下高野にかけての古利根(ふるとね)川流路左岸沿いに,約3kmにわたって発達している河畔砂丘。砂丘は全体として三日月型の形態をなしているが,実は小規模砂丘の集合した砂丘群であり,砂丘砂におおわれた下部には自然堤防や2列の人工古堤防が存在している。古堤防のうち現古利根河床からより外側のものは,規模も大きく連続性良好で,その中からは古墳後期,奈良・平安期に比定される土師器片が多数出土する。さらにこの古堤防をおおう砂丘砂中より,長禄3年銘の板碑が出土した(杉戸町教育委員会報告書)。これは,「吾妻鏡」の建長5年8月晦日の条に記録された「下河辺庄ノ堤」と推定されているが明らかではない。ただし,砂丘上に建つ永福寺の「竜燈山伝燈記」に記載された高野川(現古利根川)が,明徳3年の暴風雨で破堤した時に生じたとされるおっ堀があるので,その頃には古利根川河岸に堤防が築かれていた可能性がある。高野砂丘の形成時代は未だ確定されてはいないが,古堤防築堤の建長5年以降,永福寺建立の天正7年頃までとの説がある。一般に砂丘砂層はきわめて薄く,2m前後の砂丘砂の堆積が普通である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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