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武甲山
【ぶこうさん】


武光山とも書き,向(むこう)山・蔵王山・秩父(ちちぶ)嶽(新編武蔵)ともいう。秩父郡横瀬町と秩父市にまたがる山。標高1,336m(石灰岩採掘のため1,300mになる予定)。県立武甲自然公園のうち。奥武蔵の盟主といわれ雄大な山容を持ち,秩父市の象徴として知られる。山名の由来には,日本武尊が東征のとき,遠望した形が甲に似ていたため(郡村誌)戦勝祈願に武具・甲冑を奉納したためとか,秩父の向うにあるのでムコウサンとする説等がある。古来,信仰対象の山で,山頂に御岳神社を祀る。「新編武蔵」に「登り口四方にあり,東口を表とせり,南口は裏にて浦山村なり,西は橋立口とて上影森村にて,北は大宮口なり」と,四方からの登山口が記されている。2等三角点があり,展望がよく,全山石灰岩よりなるけわしい岩峰で,埋蔵量は30億tといわれる。北面の岩壁は登山の対象とされていたが,現在では石灰岩の採掘が進み,山体を著しく破壊し,御岳神社も遷座を余儀なくされ,山頂の高さも4~5m低くなる見通しで,登山道も変化し,山容の美観や自然保護の見地から大きな問題となっている。東側中腹にチチブイワザクラ・ミヤマスカシユリなどが自生し,武甲山石灰岩地特殊植物群落として国指定天然記念物になっている。山麓には,秩父三十四番札所の第8番西善寺(県指定天然記念物コミネカエデ),第26番円融寺,第28番橋立寺(橋立鍾乳洞)などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7051602