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妻沼低地
【めぬまていち】


県北部を流れる利根(とね)川右岸,大里郡妻沼町一帯に発達する低地。標高は20~35m。東には加須(かぞ)低地,南に荒川低地が続き,北部は利根川を越えて群馬県下の一部にも及んでいる。加須低地とは鴻巣(こうのす)市箕田(みだ)と行田(ぎようだ)市斎条を結ぶ南北線で境され,断層の存在が推定されている。この低地は利根川と荒川が長い間乱流を繰り返した地域で,扇状地性堆積物の砂礫が厚くおおい,水田下1~2mの所に,古墳や住居址の存在することが最近相次いで報告されている。これは妻沼低地が,古墳の形成期以後も地盤沈下が続き,利根川や荒川のたび重なる洪水や乱流で,堆積が進行したことを物語るものである。また,妻沼低地東部の南河原条里遺構発掘調査によって,水田下1.5m内に3層の火山灰層,すなわち一番上から,浅間火山起源天明3年の火山灰,天仁元年噴出の火山灰,榛名(はるな)火山二ツ岳噴出(610年頃)の火山灰が確認されている。慶長9年伊奈備前守忠次が掘った備前渠用水の灌漑水域にあたり,県内でも最も肥沃な農業地帯。利根川沿いの自然堤防地帯は深谷ネギなどの野菜の主産地となっている。東部の葛和田(くずわだ)の河川敷には,グライダーの滑空練習場もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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