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梅ケ瀬渓谷
【うめがせけいこく】


県中部にある渓谷。養老川の支流浦白川が大福山東南の丘陵部を浸食してできたもので長さ約4kmに及ぶ。養老渓谷奥清澄県立自然公園に属する。谷名の由来は,明治19年日向国高鍋藩士だった日高誠実が当地に入植して開拓を行い,1,400本の梅の木を植えて梅の名所を目指したことによるという。幅4~5mの川床は砂岩で階段状の小さな滝がいくつかあり,両岸は暗褐色の砂岩層を主体に灰白色の泥岩層や泥勝ち互層の薄層を挾む梅ケ瀬層が高さ30~50mの浸食崖となって続く。梅ケ瀬層は鹿野山付近から太平洋岸の茂原地方にかけて帯状に湾曲して連なる地層で,第三紀鮮新世と第四紀洪積世の境界線上にあり,梅ケ瀬渓谷沿いに代表的な層相を示す露頭が連続しているので名付けられたもので,茂原地方では天然ガス田の母岩として重要なものの1つ。渓谷の中ほどに日高誠実の廃屋が残る。梅の木は現在100本余りとなったが,断崖上には春はサクラ・ツツジが咲き,秋には紅葉が楽しめる。渓流にはサワガニやハヤなどがおり,初夏から初秋にかけてはカジカガエルの澄んだ鳴き声が聞こえる。小湊鉄道月崎駅から大福山を通り,梅ケ瀬渓谷沿いに同鉄道養老渓谷駅に出る約12kmのハイキングコースがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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