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大山
【おおやま】


鴻ノ森ともいう。鴨川市平塚にある山。標高218.9m。嶺岡山地の北,長狭(ながさ)平野にある独立峰で,新第三紀暗灰色細粒シルト岩を主に砂岩・頁岩・礫などで構成される保田層群からなる。南面中腹に大山神社,山頂に高蔵神社がある。大山神社は明治維新までは高蔵大山寺といい,縁起によれば,神亀元年良弁が相模の大山寺と同木の不動明王像を自刻し開基したという。その時不動明王の示現で嶺岡の霊木が鳴動したので池の水を供えて祈願すると霊威の雨が降り,木々は一瞬にして鎮まったという。以来雨乞いの霊地となり,池は醇酒(よいさけ)の池と名付けられ,一般には大山不動・長狭不動とも呼ばれ,毎年8月7日には風流(ふりう)(普利雨とも書く)と呼ぶ雨乞いの祭礼が行われる。武家の信仰も篤く,治承4年源頼朝が房総に逃れたとき平氏打倒を祈願し,鎌倉幕府開設後水田数町を寄進したという。足利尊氏も石段400余を造り,安国寺利生塔を建立し,塔内に仏舎利を奉安したといわれ,現在の社殿も足利氏築造と伝えられる。本尊の不動明王坐像と両脇侍立像は県文化財。山頂の高蔵神社は社伝によれば,日本武尊を祀るため良弁が創建し,天保11年に高蔵神社の号を賜ったとある。社殿は里見家滅亡以来修繕することなく荒れていたが,大正元年氏子の協力で大修繕が行われた。北麓には常緑広葉樹で幹が紅黄色になるバクチノキの群生地があり,昭和50年県天然記念物に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7053491