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鹿野山
【かのうざん】


「かのさん」ともいう。君津市南西端,富津(ふつつ)市との境界付近にそびえる山。標高380m。上総地方の最高峰(県下3位)。清澄山・鋸山とともに房総三山の1つ。北腹はなだらかな斜面地が広がるが,南腹は急斜面をなし,高原状に開けた山頂部には神野寺・ゴルフ場・白鳥神社などがある。西腹の富津市側にあるマザー牧場は,房総レジャーの一大拠点。神野寺は古くから武士や庶民の信仰を集めて栄えた上総屈指の名刹で,その上町(西方)・下町(東方)と呼ばれる門前町は,近世安房・上総両国を結ぶ街道の宿場町として繁栄した。現在もさんちょこ節やはしご獅子舞など,当時の面影を残す素朴な郷土芸能が伝承されている。一帯は桜の名所として知られる。特に北麓の福岡から山頂にかけての登山道沿いには美事な桜並木が続く。頂上からは富津岬や東京湾・三浦半島・富士山などが一望のもとに眺められる。特に下町集落の東側,白鳥神社前方の展望台からの房総丘陵の景観は定評がある。また白鳥神社は日本武尊と弟橘姫を合祀し,4月28日の鹿野山例祭には過去1年間に結婚した近在の花嫁が嫁入り衣装をつけて,しゅうとめや仲人などに連れられてお参りする花嫁祭が行われる。家内円満・安産のご利益があるといわれ,神前でお神酒をいただき神社を一回りして帰ってくるならわしになっている。当日はしご獅子舞も奉納される。当山は平地からも好目標となり,日本の経緯度原点のある東京麻布の旧天文台から原方位を定めるものとして,最初の一等三角点が山頂に置かれた。現在,建設省国土地理院の測地観測所があり,経緯度や人工衛星の観測などが行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7053856