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清澄山
【きよすみざん】


妙見山ともいう。安房・上総両国の境にそびえる山。最高峰は383mの妙見山(県下第2位)。南房総国定公園。養老渓谷奥清澄県立自然公園に属する。付近一帯は黒潮と南の湿った風の影響を受け,温暖多湿で植物の生育に適し,北斜面には暖帯性,南斜面には亜熱帯性の植物が繁茂。安房・上総の分水界であるとともに,植物分布の境界でもある。当山を中心に2.2万haに及ぶ東京大学農学部付属の演習林があり,原生林の保護や森林についての研究が行われている。地質学的には第三紀の後期に属し,泥板岩や砂岩がその基盤をなす。山上には清澄寺があり,江戸期に建てられた大本堂には虚空蔵菩薩が安置されている。また広場には周囲17m,樹高50mのスギの巨木がそびえている。日蓮が12歳で入山し32歳で悟りを開き,朝日に向かって最初に「南無妙法蓮華経」を唱えたという旭日ノ森からの眺望はすぐれ,特に房総の山岳ならびに海洋景観は雄大である。清澄寺からアジサイの名所として知られる麻綿原高原を経て養老渓谷に至る延長18km余のハイキングコースも開かれており,麻綿原高原をアジサイが彩る初夏の頃はハイカーでにぎわう。尾根に沿って数十戸が集落をなし,住民は木こり,建具製造などの林業を営む。ふもとの坂本には旅館や飲食店が並び門前町が形成されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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