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下総台地
【しもうさだいち】


県の中部以北東京湾岸から利根川沿岸近くまで広く分布する台地。南東部に隣接する上総(かずさ)台地と併せて両総台地ともいうが,地形的には上総・下総台地は同一面であり,両総台地の大部分は旧下総国に属するため,広義に下総台地と呼び,両総台地と同じ範囲を指す。標高は全体的には約30~40m,北へいくにしたがって低くなり,台地の末端は約10~20mの急な崖となって低地に続く。台地は畑地と平地林が混在し,台地面を周りから多くの浸食谷が樹枝状に刻み込んでいて,ここでは水田が卓越している。これを谷津田(やつだ)といい,当地域の特色的景観となっている。台地の面積は約1,900km(^2)で房総半島の約35%を占める。そのうち谷津田は15%,残りの85%は富士・箱根などの火山灰が降り積もった,厚さ数mのいわゆる関東ローム(赤土)の台地面である。台地上は江戸期より小金牧・佐倉牧の牧場であったが,明治期に入って開拓され,初富(鎌ケ谷市)・二和(ふたわ)(船橋市)・三咲(船橋市)・豊四季(柏市)・五香(松戸市)・六実(松戸市)・七栄(富里町)・八街(やちまた)(八街市)・九美上(くみあげ)(佐原市)・十倉(とくら)(富里町)・十余一(とよいち)(白井町)・十余二(とよふた)(柏市)・十余三(とよみ)(成田市)が成立,東京新田といわれた。その後,首都防衛の軍隊や軍事基地が多く設置され,乏水性が著しいという台地の特性もあって,開拓は遅れたが,近年東京から至近の距離にあるこの地域は,大規模な住宅団地や工業団地が造成され,特に国鉄常磐線・総武本線沿線の東葛(とうかつ)・京葉地域は東京のベッドタウン化し,人口が著しく増加している。また,台地中央部には新東京国際空港(成田空港)が昭和53年5月に開港され,千葉ニュータウン・成田ニュータウンも建設され,それに伴い交通網も一層整備されてきている。農業の面においては,穀類・豆類・芋類,そして特に落花生の産地で有名であった台地北・東部が,近年は蔬菜類の生産や果樹栽培が盛んとなり,近郊農業地域へと変貎している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7054950