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長狭平野
【ながさへいや】


県南部にある沖積平野。北は北根山と通称される鋸山・清澄山山系に,南は嶺岡山地に挾まれ,太平洋に扇形に開く。加茂川地溝帯ともいわれるが,北根山との断層線は認められるものの,嶺岡山地との明瞭な断層線は見つかっていない。平野の中央部を加茂川が蛇行しながら東流し,北東部は待崎川が南流し,それぞれ太平洋に注ぐ。東部は旧鴨川町で鴨川平野とも呼ばれ,鴨川市街が海岸沿いに広がり,その中心に位置する安房鴨川駅は外房線・内房線の起点である。西部は東より主基(すき)・吉尾・大山の3か村が合併した旧長狭町に当たり,旧3か村の中心の小さな町並が主要地方道鴨川保田線(通称長狭街道)沿いに点在する。平野の大部分は水田で,良質の長狭米を生産する。明治4年の明治天皇大嘗祭には,旧主基村の北小町(きたこまち)で約6反歩の地に青竹で厳重な囲いをして作った米が献上された。耕地整理も進み,用水施設も東部の金山ダムを中心に整備されている。中でも待崎川流域の旧東条村では承保元年から用水路が設けられている。旧長狭町地区では,宮山の八丁堰をはじめ加茂川支流をせき止めて,各集落ごとに堰がつくられ水田に引水しているが,大川面など耕地整理が進んだ地区では堰を水田化し,その代わり加茂川から揚水機を使って水を引いている。平野では水田耕作のほかに小規模な乳牛飼育やミカン栽培をする農家もみられるが,専業農家は少なく,大部分は兼業農家。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7056046