100辞書・辞典一括検索

JLogos

8

仁右衛門島
【にえもんじま】


鴨川(かもがわ)市太海(ふとみ)の沖合200mにある島。周囲4km。県名勝地。南房総国定公園に属する。波太(なぶと)島・蓬(よもぎ)島ともいう(房総叢書)。伝説によると,治承4年源頼朝が伊豆石橋山で敗れて安房国に渡り,同国から上総権介広常のもとに行くとき,平家恩顧の臣長狭(ながさ)六郎常伴の急襲にあい,この島に逃れたという。そのとき島の住人平野仁右衛門は頼朝を助け,その功績で幕府創建後,島と,そこから見える限りの海の漁業権を頼朝より与えられた。島主平野氏は代々仁右衛門を名乗り,島も仁右衛門島と呼ばれるようになった。島内には江戸期に改築された平野氏の邸宅と,頼朝が隠れたと伝えられる洞穴がある。日蓮が朝日を拝したといわれる神楽岩や,松尾芭蕉・水原秋桜子の句碑がある。亀岩からは鴨川市内が一望できる。金銀針茄子はこの島にのみ自生するといわれる珍しい植物。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7056276