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前島根
【まえしまね】


富津(ふつつ)市竹岡の北西海底にある岩礁。岸からの距離約200m,長さ324m・幅9~36m。海岸と並行し,干潮時には礁頭がほとんど海面にあらわれる。昭和51年頃竹岡漁港の改修事業により一部破壊された。「義経記」の源頼朝安房より上総に入る段に,「あはとかづさのさかひなるつくしうみのわたりをして,かづさの国さぬきのえだはまをはせいそがせ玉ひて」とあるのを,中村国香は「安房は淡なり,淡水門是即今の上総の地方天羽郡より安房の地平群の海をいふ也,古へ此地陸を離るる事数十歩にして海面に屏風の如く山峙ち,其間を舟行せしと見ゆ,かくありぬれば濤波平かにして湖水の如くなれば,淡水門とはいひたる成べし,後世いつとなく山崩れ海とひとしくなりぬれば,潮涸る時は礁石一道波濤を載せるにてしらる」と自説を明らかにしているが,文末の礁石云々は本礁を指すと考えられる。なお「つくしうみ」は造海にして,竹岡の旧名と考えられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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