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硫黄島
【いおうじま】


小笠原諸島火山列島の中央に位置する島。周囲22.752km,面積2,018.92haで民有地および官有地786.37haである(小笠原諸島概史,昭和11年調査)。富士火山系に属し,島の南に摺鉢(すりばち)山(161m)があるが,島全体としては平坦で,島内至る所に噴気孔があり,ガスを出している。明治20年東京府知事高崎五六らが巡視,同22年に田中栄二郎が硫黄採掘および漁業の目的をもって渡航,また小笠原島庁吏員が渡航して地名等を命名,同24年9月勅令をもって日本の領土とし,小笠原島庁の所轄に編入。明治26年に6人が移住,海岸の招帆窟・仙源洞といった洞窟で居住したという(小笠原島志)。産業は農業が主体で,甘蔗は昭和14年に小笠原諸島の60%を生産,そのほか果実類・蔬菜類などが作られている。硫黄島村の西に日蓮宗分教所があり,墓地の大きさは1,000坪。同15年に村制施行。同19年住民は本土に強制疎開させられた。同20年2月19日,アメリカ海兵隊が上陸,2万3,000人の小笠原兵団との間に激戦が展開されたが,戦いは3月23日に終わった。日本軍の戦死者2万129,アメリカ軍死傷者2万4,000。同21年連合軍施政権下,同26年アメリカの施政権下となり,同43年返還。返還以降は元住民の移住が許されておらず,海上自衛隊の分遣隊が南(みなみ)に駐屯。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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