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於玉が池
【おたまがいけ】


現行の千代田区神田岩本町・神田東松下町・神田須田町2丁目一帯にあった池沼名。古くは桜が池といった。現在は埋め立てられてないが,於玉稲荷社(神田岩本町2-15)が遺構を伝える。「永禄江戸図」には神田村の辺に大きな池がある。「寛永江戸図」ではすでに池はなく武家地や寺社となっている。江戸期まで近江仁正寺(にんしようじ)藩市橋邸内や神田紺屋(こんや)町の御染物土屋某の地内の池などにその名残があった(画報)。池名の由来は,桜が池といっていた時代に,近隣の茶屋の娘が池に身を投げて,その霊が旅人にたたったので霊を鎮めるために稲荷社がまつられたのが於玉稲荷社であるという(砂子・江戸名所)。しかし,社伝では長禄年中の江戸城鎮護のため,太田持資が桜を池畔に祭祀したものという。池名の由来として,別にこの池にはカエルが群棲し,多くの卵を生みつけたためという説もある(東京地理志料)。池はなくなったが地域称として近年まで用いられた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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