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杣保
【そまのほ】


旧国名:武蔵

(中世)南北町期から見える汎称地名。多摩郡のうち。「新編武蔵」に「天文五年羽村鎮守の棟札に,武州杣保長淵郷羽村とあれば,其辺より西は往古すべて杣保なるべし」とあり,現在の青梅(おうめ)市・奥多摩町・羽村(はむら)市の一帯にあたる。杣の名が示すごとく山深い地であるが,保と称される所以は未詳。応安6年8月20日の塩船観音堂(青梅市)蔵大般若経奥書に「武州三田領杣保内塩船村」とあり(新編武蔵),同年11月21日の保福寺(山梨県上野原(うえのはら)町)蔵雲板にも「武州杣堡高柿村地蔵院」と見える(銘記集)。その後,奥多摩町の伽藍明神社・日原(につぱら)倉沢権現社・白髪神社の鰐口銘,同町宝福寺薬師如来像台座銘,青梅市報恩寺地蔵菩薩像背銘,同市天寧寺鐘銘(銘記集),同市宝林寺所蔵文書(武文)など,戦国期までの史料に散見される。杣保の名は江戸期に至っても汎称として使われ,「新編武蔵」には,多摩郡西部の23か村が当時,杣保あるいは杣保庄と汎称していたという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7062058