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鳥島
【とりしま】


東京の南約600kmに位置する伊豆諸島最南端の火山島。東西約2.7km,南北約2.4km,面積約4.4km(^2)。最高点は中央火口丘の硫黄山403m。周囲は断崖で,はしけの接岸も困難である。江戸期には日本船の漂着民が数回漂着しアホウドリを食して数十年も生活していた記録がある。明治19年,八丈島民がはじめて移住,その後移住者は増加し,アホウドリの羽毛採取や近海での漁業を行った。北側の千歳(ちとせ)湾沿いの平地には50~60軒の家が立ち並び,明治35年には島民125人を数えた。おびただしい鳥の糞が良い肥料となり,草木が青々と茂る緑多い島で,畑もかなり広く作られていた。しかし,明治35年8月9日,島は突如大爆発を起こし,島の半分が吹き飛び,一瞬のうちに全島民の生命が奪われた。その後再びサンゴ採取のため移住する人々があり,奥山村というまでになったが,昭和14年8月19日の噴火で再び無人島化,同19年,横須賀海兵隊120名が本土防衛のため鳥島に派遣されたが,敗戦により20年10月本土に引き揚げた。同22年,測候所が開設され,台風定点観測を行ったが,同40年11月,火山活動と地震活動が頻発し,噴火の危険が迫ったため観測所は閉鎖され,無人測候所に切り替えられた。アホウドリは明治期に羽毛採取用に乱獲され絶滅に瀕したので,現在は国際保護鳥となっている。また鳥島は国指定の天然記念物となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7062777