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油壺湾
【あぶらつぼわん】


三浦半島南西部に位置し相模湾に面する湾。三浦市の網代崎と名向崎に挟まれた幅100~150m,奥行700mのリアス式海岸の入江。湾名は,湾内が油を流したように静かなゆえとも,昔,新井城落城の折,三浦一族の死体が落ち,水面に油を漂わせたからともいわれる。網代崎は,代々三浦氏の居城である新井城が,ほぼ岬全域にわたり構築されていた。このため先端(西端)を城の内という。岬の南端(現東京大学臨海実験所付近)に本丸があり,その北に二の丸があったと伝え,現在もその境界を示す土塁が残る。永正13年7月11日,3年に及ぶ北条早雲との戦いで落城し,三浦義同・義意父子はここに討死したが,落城の日時は「北条五代記」によれば永正15年,「関東管領記」では永正11年とあり明確ではない。三浦父子の墓が岬の北にあり,義同の墓には辞世の歌の「うつものもうたるるものもかわらけよ くだけて後はもとの土くれ」が刻まれている。油壺には,その地形を利用して,建設省国土地理院が験潮場を設置し,海面水位の測定から土地の隆起・沈降や津波の解析を行っている。また臨海生物の生態を研究する東京大学臨海実験所も置かれている。その構内には千駄矢倉という洞窟があり,「新編相模」には「洞中広さ六,七坪,道寸兵糧を貯置し所と云ふ」と記されている。さらに近年,新井城の二の丸跡が水族館を中心とする京急油壺マリンパークとなり,湾内は南隣の諸磯湾とともにヨットハーバーとして利用され,観光化が進む。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7065592