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蟻山坂
【ありやまざか】


川崎市高津区千年(ちとせ)にある坂。中原街道が多摩丘陵の東端へのぼる部分に位置し,同街道としてはこの付近最大の急坂であった。こやし街道とも呼ばれ中原街道を大八車・リヤカー等を引いて東京方面へ人糞を求めにいく丘陵上の農民にとっては帰路最大の難所であり,第2次大戦中の木炭バスは乗客が後押ししなければのぼりきれなかった。戦後,付近住民の訴えが通り,昭和23年8月から県の直営工事となって,地元の労力奉仕を得て道路改修工事が始まり同24年3月に完成した。最高所に蟻山坂改修記念碑がある。旧道は新道(主要地方道丸子中山茅ケ崎線)を左側に見てのぼる場所に位置し,頂上部は傾斜緩和のため約10m掘り下げている。坂名の由来は,こやし運搬車が登坂の順を待って列をなし,等間隔でのぼっていくさまが蟻の行進に似ていたためといわれる。「新編武蔵」には比定できる坂の記載はない。いずれにせよ近代以降の命名である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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