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梅ケ谷
【うめがやつ】


鎌倉市扇ガ谷,仮粧坂の下の北にある谷名。現在では亀ケ谷切通の下,薬王寺のあたりもそう呼んでいる。鎌倉期から見え,金沢文庫所蔵の聖教奥書に「元亨元年十二月三日,梅谷,為甲斐亡室」とある(県史資2-2281)。ついで,嘉慶2年2月28日の権僧正頼印諸供僧職譲状写に「一,同所(鎌倉)梅谷新阿弥陀堂供僧職事」と見え,当地の新阿弥陀堂供僧職などを嫡弟前大僧都相覚に譲っている(相文/県史資3上-5035)。なお「鶴岡八幡宮供僧次第」に見える「梅谷供僧」はこの新阿弥陀堂の供僧と推定され,頓学坊智円・文恵坊良守・文恵坊重純などが供僧となっている(続群4下)。聖護院門跡道興准后の「廻国雑記」(群書18)に「梅が谷 冬枯の木立さびしき梅が谷もみぢも花もおもかげぞなき」の詠歌を載せている。「鎌倉志」では,「夫木集」の「誰か里につゞきの原の夕霞 烟も見へず宿はわかまし」の歌に出てくる綴喜の原を梅ケ谷であるというが,「新編相模」では武州都筑ケ原の詠とし,この説を否定している。天保3年の「扇ケ谷村絵図」では「梅ケ谷」と記し,そのあたりは「田」「畑」と書かれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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